依光隆明
諏訪市発祥の健康スポーツ「マグネット吹き矢」をもとにした防犯グッズができた。矢の先端に特殊な染料とにおいをつけ、カラーボール代わりに逃げる犯人へ放つ仕組み。「カラーボールよりも簡単に、遠くまで飛びます」と開発者。今月末には下諏訪町のコンビニで防犯関係者に実演、普及を図る。
「マグネット吹き矢」は先端に磁石がついた矢をアルミのパイプから吹き、4メートル先の的を狙うスポーツ。高齢者も気軽にできる運動として、各地の介護施設で導入が進んでいる。
開発者は諏訪市の藤森常昭さん(80)。さらに普及を、と思案していて防犯への応用を思いついた。磁石の代わりに染料を盛ればカラーボールの代わりになるのではないか、と。
まず考えたのはパイプの長さ。標準の長さは1メートルだが、防犯のために常備するには長すぎる。机の引き出しに入れておけるように30センチ、40センチ、50センチを、立てかけておけるように70センチをそれぞれ試作した。
「30センチでも6メートル、50センチなら8メートル飛ぶことが分かりました」と藤森さん。「コンビニなら1メートルのパイプでも備えられると思いますが、それなら20メートル飛びます」
矢の先端に盛る染料も工夫した。「警察に聞くと、においがついていれば警察犬が追うことができるそうです」。蛍光染料や朱肉を使って赤い染料をつくり、においは今も工夫中。
「一番いいのはブタの血液の粉末だそうですが、染料が固まったらいけないので。1年は硬化しないように改良を続けています」
藤森さんによると、カラーボールの弱点は練習しづらいこと。「吹き矢なら気軽に練習できるし、練習すればうまくなります。投げるのが苦手な人も、矢を吹くことはできる。矢を入れたパイプをデスクの中やレジの傍らに置き、いざというときに使ってもらえれば」
今後、防犯訓練に使ってもらって普及を図る考えだ。問い合わせは、日本マグネット吹矢協会(0266・54・7050)。(依光隆明)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル